2011年9月14日水曜日

OCTAVE V40SE

先日、スピーカーの入れ替え検討のため、Anthony GalloのReference3.5を自宅試聴させてもらった。その際、自宅にあるアンプではどれも思うような音が出なかったので、Anthony Galloの輸入元の好意により、急遽OCTAVEのV40SEを持ってきてもらうことになった。そこで聴いたV40SE+Reference3.5の音はとても素晴らしいものだった。



V40SEの音は一言で言えば、とても自然。特に低域の自然さは際立っている。
低音の量感がでるセットでは、他の楽器と低音楽器のアンバランスさというのが気になることがある。例えば、少し前に試聴会等でよくかけられた、Eagles Hotel California(Live)なんかはバスドラムのキックの音が不自然に響き渡ることが多い。このバスドラムの異常な迫力は確かに聴いていると気持ちが良い。しかし、この迫力はあたかも「ビックリさせてやろう」と言わんばかりの音。いわば、映画の爆発音みたいだ。
しかしV40SEではこのバスドラムが演奏と一体感を持って演奏される。決して量感が少ないのではない。十分な量感を持った上で、ギターやボーカルとバスドラムが「揃っている」。他の演奏に溶け込むのでパッと聴くと量感が少なく他のアンプに比べると迫力が少なく感じられる。しかし、バスドラムが他の楽器と揃うので、全体的な演奏の迫力は向上する。

また、V40SEの特徴として小音量での演奏がとてもいい。「小音量でも楽しめる」なんてうたっているアンプはたくさんあるが、V40SEより小音量での再現が優れているアンプは聴いたことがない。もしV40SEを使っても小音量再生が楽しめないのであれば、それはスピーカーやプレーヤーの責任だろう。

その他、ワイドレンジ、高S/N、ハイスピード、高解像度といったいわゆるハイエンドアンプとしての性能を十分に持っている。

総括
ハイエンドアンプの入門として最適なアンプ。スピーカーとの相性がよければ、これ以上のアンプは必要ないと思える。ジャンルも得手不得手がなくロック、ポップスからクラシックまで何でもこなす。クラシックの弦やピアノの透きとおった音はとても魅力的だし、ロックではギターのピッキングが気持ちよく、ベース、ドラムによる気持ちがいいグルーヴを作り出す。しかし、弦のタップリとした甘さを引き出したりギターの異常なキレといったデフォルメして気持ちよく聴かせるといったことはできなさそうだ。また、CDプレーヤー等から雑味のある音が出てくるととたんにつまらない音になってしまうだろう。あまり録音が良くない音源でもその嫌味は出さないが、前段の機器はあまり個性が強いものは選ばないほうがいいかもしれない。