2011年12月12日月曜日

Aurorasound VIDA

以前、ハイエンドショウの感想を書いた時にAurorasoundのLCR型フォノイコライザVIDAの印象をちょっとだけ書いた。その後もずっと気になっていたのだが、先日試聴会に参加して、その音を十分に聴くことができたので、改めて感想を書いておく。

機材は以下の通り

SP:B&W 802D
Power AMP:Accuphase A-65
Pre AMP:Aurorasound CADA
プレーヤー:Microの古い機種+SME 3010+DENON DL-103
LUXMAN PD-171+Viv Laboratory Rigid Float+LYARA HELIKON
※Rigid Floatの音も素晴らしかったが、ここでの感想は控えておく
また改めて試聴する機会があれば、感想はそのときに



ハイエンドショウの感想でも「クセがない」と書いたが、やはりその通りの音。悪い意味での「CDのような」や「アナログらしい・・・」という印象はない。無理に音のエッジが立っているわけでもなく、ナローな音でもない。程よく中域に力感があり、低域の伸びは素晴らしい。この低域を味わうには、なるべく感度の高いアームと組み合わせてあげると良いと思う。そういった意味ではRigid Floatとの組み合わせはベストかもしれない。

Crosby、Stills&NashのDeja Vuではリズミカルなテンポが気持ちよく、自然と体がのってくる。一音一音が美音なのですんなりと音が入ってくる。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ではオーケストラの編成がしっかりと表現されていて、ソリストとオーケストラのそれぞれの演奏がしっかりと表現されている。

Aurorasoundの製品は「個性」が強いと思う。「クセがない」けど「個性がある」というのは一見矛盾するように感じるが、そんなことはない。クセがある製品はジャンルを選ぶ傾向がある。オーディオ機器には「個性」がある。「どんな音をだしたいか?」それがオーディオ機器の個性であり、そこがいろんな製品が存在する理由なのだろう。私達はそんな「個性」に惚れてオーディオを買うのだと思う。
Aurorasoundの個性は説明するのが難しいが「どんな音楽でも楽しく聴いてくれ」と言っているように感じる。小さなメーカーゆえに、「個性」がしっかりしていて他の機器では味わえないよさがある。この「個性」に共感できれば、他の機器では味わえない再生音が得られるだろう。

2011年11月7日月曜日

インターナショナルオーディオショウ2011 感想

今年は2日間かけてインターナショナルオーディオショウを見学してきた。出品されている製品のほとんどは高額で手がでるようなものではないけど、たまにはこういった超ハイエンドオーディオを聴いてみるのもいい。ただ所々、そこまで高くない製品の音だしをしているブースがあったので簡単に感想を書いておく。



国内の真空管アンプメーカーとして確固たる地位を築いているAir Tight。そのAir Tightの品質を比較的リーズナブルな価格で製品を提供しようというのがAcoustic Masterpiece。といってもそれでもそれなりのお値段はしてしまうが・・・。そのAcoustic MasterpieceのアナログプレーヤーとMy SonicのEminent Soloの組み合わせで聴くモノラルが素晴らしかった。Eminentなんて使っていたら良くて当たり前と言われればそれまでだが、それでもここまで凄いとは思っていなかった。音像の奥行き表現がステレオよりも深く、音が濃い。それでいてワイドレンジで高解像度。左右に音が定位するわけではないがが、それ以外はステレオに劣っているところは何一つないと言っていいだろう。

Axisのブースにて B.M.CのCD+DAC+モノパワーアンプ



今年から輸入されることになったドイツのオーディオメーカー。通常、オーディオ機器間は電圧伝送だが、それを電流伝送にしているのが特徴(但し、通常のオーディオ製品と接続した場合は電圧伝送)。また、音量調整はパワーアンプのゲインコントロール、小出力トランジスタでフローティングカスコード回路+LEFといった独自技術を使うことにより大出力を得るなどアイデア満載のメーカー。設計者によるとできるだけ、信号が通るセクションをなくすことにより信号の鮮度を落とさないようにしたそうだ。まさにその通りの音だった。ハイスピードで輪郭がハッキリした音。曖昧さや艶やかさなどは全く感じず、ストレートに音が飛び出してくる印象だった。正直、これだけの音が出て100万円を超えていないのにはビックリした。

他にも良い音を出しているブースはたくさんあったが、かなり製品が高額だった。しかしそういった製品も「一点豪華主義」で使ってみるのも面白い。

ショウを通じて感じたのは決して高額製品を買えば良いというわけではないこと。自分の求める音とベクトルがあった製品を買ってそれを使いこなすことで、自分にとってはどんな高額製品よりも良い音で音楽を聴くことができると思う。こういったショウではその自分の求める音のベクトルを明確にするために積極的に参加していくといいと思う。

2011年10月31日月曜日

Phase Tech CS-1

Phase Techは2002年にブランド設立したオーディオメーカー。まだ設立から10年もたっていないが、既に一流のオーディオブランドとして認知されてきているのではないだろうか。設立当初はアナログカートリッジが非常に高い評価だったが、近年ではUSB DACなんかも高い評価を受けている。
私はPhase TechのP-3というカートリッジをメインに使っているが、流石にクオリティの高い音を出している。今まではストレートアームにこのP-3をつけて使っていたのだが、最近、MicroのDD-8というプレーヤーを譲ってもらった。このプレーヤーはユニバーサルアームなので、ヘッドシェルが必要になる。最初は以前使っていたヘッドシェルを使っていたのだが、Phase TechのCS-1が生産完了になるということで安くなったので購入してみた。


上の画像では至って普通のヘッドシェルに見えるが、実物は非常に美しい。わずかに光沢があり、触るのをためらうほどだ。また、指掛けが素晴らしい。最近のヘッドシェルは指掛けがストレートタイプのものが増えてきているが、そんなヘッドシェルを設計している人には是非このヘッドシェルを一度使ってもらいたい。ここまで指にフィットする感覚が味わえるシェルはなかなかない。指で針をレコード盤に下ろすのが楽しくてしょうがない。
さて肝心の音だが、これも素晴らしい。S/Nがきわめて高く音の純度が高くなる。定位もより明確になり音に力感が出てくる。ヴァイオリンの音は滑らかになり、ベースの音程が明確になる。ベースが明確になるので演奏のリズムが明確になり、自然と体がリズムに乗り始める。このシェルに変える前も同価格帯のものを使っていたが、明らかにこちらの方が好ましい音になっている。

このシェルは生産完了になり、新しくCS-1000というシェルに変わる。ここからどのように音が変わるのかはわからないが、かなり期待している。流石に買い替えようとは思ってはいないが、別のカートリッジを手に入れた際はこのヘッドシェルを買ってみようと思う。

2011年10月17日月曜日

ハイエンドショウトウキョウ 2011 感想

毎年、春と秋に東京交通会館にて行われるハイエンドショウというイベントに行ってきた。試聴した環境もあまり良くはないので、詳しいレビューはできないが、気になった製品がいくつかあったので、紹介しておこうと思う。

FOSTEX G1302MG

画像は旧モデル

FOSTEXのGシリーズのトールボーイスピーカーG1302がモデルチェンジされた。ユニット、キャビネット等に手を加えているようだ。音は前モデルよりもS/Nがすごく上がっているように感じた。ストレートな音の表現にがより明確になったように感じた。


オーロラサウンドはTI社を退社した技術者が立ち上げたオーディオメーカー。M2TECH社のUSB DDCを改良したり、プリアンプ作ったりしたりしている。今回発表されたのはLCR型のフォノイコライザ。モノラルミックススイッチがあったり、ミュートボタンが押しやすいように配置されていたりと、使い勝手がとても良さそう。音を聴いた印象はクセを感じない素直な音だった。




プロオーディオで有名なMANLEYが民生用に販売している真空管アンプ。iPodドックを搭載していて、とてもプロオーディオ出身のメーカーとは思えない。しかし音は力感があり、ピラミッドバランス。音を押し出す力がとても強い。なるほどプロオーディオメーカーが作ったものなのだと納得する音だった。

オーロラサウンドのVIDAとセットで聴いた。やはりクセを感じさせず音にストレスがなく出てくる。アナログらしさは当然あるものの、デジタルのようなS/Nの良さ、定位があるように感じた。


ハイエンドショウで鳴っている音はどこも、けっして良い音とは言えない。電源、部屋の環境が良くない上、大勢の人に音を聞かせるとなるとどうしても難しいのだろう。今回紹介して製品以外でもきっと良い音がする機器はあったと思う。しかし耳だけでそれを判断するのは難しい。こういったショウの場合耳よりも目(機器の素材や構造、技術情報等)で音を想像してから音を聴いて製品の特徴を判断するといいのかもしれない。

2011年10月11日火曜日

PRIMARE I22

20万円台でこれほど、デザインが美しいアンプは他にはないのでは?このデザインの素晴らしさゆえに、高級機と勘違いされて購入候補にあがらなくなってしまいそうだ。それほどPRIMAREのI22のデザインは素晴らしいと思う。
「この美しいアンプからどのような素晴らしい音が奏でられるのだろう?」そう想像するだけでも、とても楽しくなってくる。実際の音はスッキリとした音でありながら、力感もしっかり出してくれている。高域は美しく、チェンバロやギターの弾いた弦の音がとても魅力的だ。以前のPRIMAREのアンプは美しい音はあるが、スピード感があまりなかった。しかしI22はスピード感も十分に備わったように感じた。また、空間表現がこのクラスとしてはかなり上位にくる表現力を持っている。B&Wの805D組み合わせるとかなり奥行きのある空間を表現してくれた。色づけが少ないアンプではないが、不自然さはなく心地良い音から力感あふれる音まで、結構幅広い要求に答えてくれそうだ。

2011年9月14日水曜日

OCTAVE V40SE

先日、スピーカーの入れ替え検討のため、Anthony GalloのReference3.5を自宅試聴させてもらった。その際、自宅にあるアンプではどれも思うような音が出なかったので、Anthony Galloの輸入元の好意により、急遽OCTAVEのV40SEを持ってきてもらうことになった。そこで聴いたV40SE+Reference3.5の音はとても素晴らしいものだった。



V40SEの音は一言で言えば、とても自然。特に低域の自然さは際立っている。
低音の量感がでるセットでは、他の楽器と低音楽器のアンバランスさというのが気になることがある。例えば、少し前に試聴会等でよくかけられた、Eagles Hotel California(Live)なんかはバスドラムのキックの音が不自然に響き渡ることが多い。このバスドラムの異常な迫力は確かに聴いていると気持ちが良い。しかし、この迫力はあたかも「ビックリさせてやろう」と言わんばかりの音。いわば、映画の爆発音みたいだ。
しかしV40SEではこのバスドラムが演奏と一体感を持って演奏される。決して量感が少ないのではない。十分な量感を持った上で、ギターやボーカルとバスドラムが「揃っている」。他の演奏に溶け込むのでパッと聴くと量感が少なく他のアンプに比べると迫力が少なく感じられる。しかし、バスドラムが他の楽器と揃うので、全体的な演奏の迫力は向上する。

また、V40SEの特徴として小音量での演奏がとてもいい。「小音量でも楽しめる」なんてうたっているアンプはたくさんあるが、V40SEより小音量での再現が優れているアンプは聴いたことがない。もしV40SEを使っても小音量再生が楽しめないのであれば、それはスピーカーやプレーヤーの責任だろう。

その他、ワイドレンジ、高S/N、ハイスピード、高解像度といったいわゆるハイエンドアンプとしての性能を十分に持っている。

総括
ハイエンドアンプの入門として最適なアンプ。スピーカーとの相性がよければ、これ以上のアンプは必要ないと思える。ジャンルも得手不得手がなくロック、ポップスからクラシックまで何でもこなす。クラシックの弦やピアノの透きとおった音はとても魅力的だし、ロックではギターのピッキングが気持ちよく、ベース、ドラムによる気持ちがいいグルーヴを作り出す。しかし、弦のタップリとした甘さを引き出したりギターの異常なキレといったデフォルメして気持ちよく聴かせるといったことはできなさそうだ。また、CDプレーヤー等から雑味のある音が出てくるととたんにつまらない音になってしまうだろう。あまり録音が良くない音源でもその嫌味は出さないが、前段の機器はあまり個性が強いものは選ばないほうがいいかもしれない。


2011年8月1日月曜日

LUXMAN CL-38u+MQ-88u

LUXMANといえば日本のアンプメーカーの老舗だ。私のオーディオの原点とも言える父親のシステムにもLUXMANのアンプは使われていた。そんなこともあり非常に思い入れの強いメーカーだ。そんLUXMANから往年の人気商品のデザインを踏まえた真空管アンプを発表してきた。それが、MQ-88uCL-38uだ。このアンプの試聴会が行われたので参加した。




・CDプレーヤー:LUXMAN D-08
・アナログプレーヤー:LUXMAN PD-171
プリアンプ:LUXMAN CL-38u
パワーアンプ:LUXMAN MQ-88u
スピーカー:Sonus Faber Cremona M

この組み合わせで聴いた音楽は何とも心地がよく楽しい。出てくる音がよく弾み、楽器の音一つ一つがとても存在感が強い。オーケストラ全体の再現性という意味ではLUXMANの他のアンプの方が優れているのかもしれないが、楽器一つ一つにフォーカスが当たるような鳴り方は他のアンプでは味わえない。ともかく楽器の音一つ一つが魅力的だ。メーカーの人の話では、この弾むような音の立役者はプリアンプの影響が大きいそうだ。確かに定価が30万円台前半のプリにしてはかなり、クオリティが高い。MCトランスをHi、Lowともに対応しているし、トーンコントロールもついている。トーンコントロールがあることに関しては意見が分かれるところだと思うが、このような忠実な再現性よりも音楽を楽しく聴かせることに重きを置いたプリにはあった方がいいと思う。

さてこのプリ、パワーに組み合わせるスピーカーだが、大口径のスピーカーよりも中、小口径のスピーカーの方があっていると思う。パッと聴いた感じでは低域が延びているような感じはしなかったし、なによりこの弾むような音は小さなユニットで音を出してあげた方がよく味わえると思う。そういった意味では今回聴いたクレモナはベストマッチだろう。ただしちょっとアンプの値段に比べると高すぎるかな?おすすめはDavoneのスピーカーなんかが合うかもしれない。ただし実際に組み合わせて聴いたわけではないから、保証はできませんが・・・。

2011年3月25日金曜日

QUADRASPIRE Q4 EVO

デザインと音質の両方を兼ね備えたラックとしてQUADRASPIREというメーカーがある。このメーカーからQ4 EVOという棚板をパワーアンプ用に購入したのでそのレビューをまとめる。ちなみにこの棚板に組み合わせた足はQUADRASPIREのスパイクを使っている。

この棚板をパワーアンプ用に使う前は定価7万円ほどのオーディオボードを使っていた。これも決して悪くはなかったが、Q4 EVOに変えたら音が激変したので驚いた。なんといっても一番変わったのはオーケストラの低弦だ。私はベートーヴェンの交響曲が好きで、フリッツ・ライナー指揮 ベートーヴェン交響曲第7番 シカゴ交響楽団(XRCD)をよく聴く。Q4 EVOにパワーアンプを載せてこのディスクを聴いた時に、見事に低弦が息の揃った弾き方をすることに驚いた。低弦のリズムがピタっと揃っているので聴いていてとても気持ちがいい。また音の広がりも2つのスピーカーの中心から同心円状に前後左右に均一に勢いよく広がっていく。
音色は多少木質的な響きがあるように聴こえるが、これが良い方向に働いている。ボーカルに厚みが出てギターやヴァイオリン等の弦楽器の音が聴きやすい音になっている。また全体的に音のスピード感も上がっているので各楽器にリアリティが出てくる。


反面、以前使っていたボードに比べるとS/Nは悪くなっているようだ。音の静けさという点では以前のボードの方がよかった。しかし、十分なS/Nは確保できているのでそれほど気になりはしない。


総括
低音のリズムの刻みが明快になり、木質的な響きが多少加わるボード。S/Nの面では価格の高いオーディオボードに劣るものの、10万円以下のパワーアンプ用のボードと考えると最も優れたボードだと感じた。

2011年3月24日木曜日

OYAIDE MJ-12&STB-MS

OYAIDE MJ-12&STB-MS

オヤイデ電気のターンテーブルシート、MJ-12とスタビライザーSTB-MSのセット。オヤイデというとケーブルのイメージが強いが、アナログのアクセサリーも販売している。


このターンテーブルシートはテーパーがついているので、レコード盤をレコードスタビライザーで押さえ込むことで、ターンテーブルシートにレコード盤が密着し、安定したトレースが可能になるという商品。このようなターンテーブルシートは他にもあるが、2万円を切るものは他にはないと思う。


とりあえずこの商品、買っておいて損はないと思う。解像度、S/Nがかなり向上する。特にS/Nに関しては劇的に良くなる。シートの材質の影響か、音色は多少変化するものの他のシートと併用すればその点も気にならなくなると思う。私はこの音色が嫌いではないので、現状は他のシートは使っていないが、ソースによっては、47研究所の豚皮などを併用している。
当初はスタビライザーはSTB-MSではないものを使っていたが、純正の組み合わせを一度試してみると、明らかに低音の音階が明快になりリズムの乗りもよくなった。ぜひ純正の組み合わせを試してみるといいと思う。
ちなみにこのスタビライザーはひっくり返せばドーナツ盤にも使えるという優れもの。仕様も良く練られていて使い勝手も良い。かなりお勧めの一品だ。

2011年3月9日水曜日

Anthony Gallo Reference 3.5


Anthony Galloはアメリカのスピーカーメーカー。Reference 3.5は2009年に生産完了となったReference 3の後継機。このスピーカーは

1.再生周波数帯域は広いがフルレンジのような音のつながり
2.トランジェント特性の高さ
3.広い指向性による広いサウンドステージ

が売りとなっている。CDT、S2テクノロジー等々、色々と技術的に工夫をしてそのような音を実現しているとのこと。このような技術的な工夫が実際に功をそうしているのか?

結果から先に言えば、かなりハイレベルで上記の3点を実現している。特に音場表現に関してはかなり高いレベルだと思う。それぞれの項目について注目してみる。

まず、フルレンジのような音のつながりという点では、ピアノの音が低音から高音にまで至って不自然な音色の変化がない。またボーカルの音源も上下にブレることはなく、一点にしっかりと定位している。ボーカルとの距離感は近すぎず、離れすぎずといった感じで1m以内の目の前で歌っているような口元のリアリティはないが、ボーカル全体の姿をとらえた表現はなかなか見事だ。

トランジェントに関しては確かに良い。QUAD ESLを彷彿させる鳴り方だが、ESLほどのトランジェントの良さは感じない。ESLのように低域から高域まで位相の揃った反応をしているように感じた。

サウンドステージはともかく広い!特にオーケストラでは低弦がステージに沿って広がっていくようだ。ただし、一般的なトールボーイスピーカーのようなステージ表現とはだいぶ異なるので最初に聴いた時は違和感を感じた。空間を描き出すのではなく、ふわっと空間を表現する。空間の広がりに限界を感じさせない。また音像に関しても表現した空間からフッと現れる。例えばボーカルなどは歌い始めるといきなり姿が現れるのではなく、最初からその場に居たかのように自然に音像が現れてくる。このあたりが一般的なスピーカーと違うと感じる点だ。


総括
嫌味な音は出さないハイレベルにまとまったスピーカー。特筆すべき点は広大なサウンドステージだろう。音場は横に広がり、見通しの良い空間を表現する。その分、音圧で押されるような圧倒力というものはない。
音色は味付けが少ないため、Sonus faberのような特定の楽器がとびぬけて良いといったことはないし、TANNOYのような独特の風格といった感じもない。色づけが少なく、どんな楽器に対しても素直に表現してくれるタイプ。故に異常なほどの楽器のリアリティという音は今回の試聴では聴くことができなかった。
また、B&Wのような超高解像度というわけでもないが、ソースの雑味は出さないので幅広い年代の音源が楽しめる。
ドライブするアンプによってかなり印象が変わるので、一聴して悪いと思ってもアンプを変えて是非とも聴きなおして欲しい。


蛇足だがこのスピーカー名前の呼び方に困る。前モデルのReference 3は「リファレンス スリー」と呼んでいたが、Reference 3.5では「リファレンス さんてんご」と呼んでいる。なんか締まらん呼び方だ・・・。