この前モデルのTC10Xも注目していたスピーカーだったが、結局一回も聴かないまま生産完了となってしまった。この度、モデルチェンジということで近くのオーディオショップで期間限定展示ということで短い時間だが試聴してきた。
セット構成は以下の通り。
CDプレーヤー | : | ESOTERIC K-03 |
プリメインアンプ | : | OCTAVE V70SE |
スピーカー | : | PIEGA COAX 10.2 |
※スピーカースタンドは残念ながら純正品ではなかった。
まずは、オーケストラをかけてみる。低域の量感もあるし、音もそれなりに明快。悪い音ではないのだが、取り立てて良い所もない音。ここで軽くスピーカーの位置を調整して、耳の位置をツイーターの少し下あたりで聴きなおしてみると、全く違った世界が展開された。
まず奥行き表現がグンと広くなる。オーケストラが弧の形をしているのがよくわかり、奥に配置されている楽器もしっかりとその位置から音を届けてくれるように鳴っている。また、演奏者までの距離が明確に表現される。各楽器のニュアンスも明確に聴き取れるようになる。
ブックシェルフスピーカーはニアフィールドで聴いても、しっかりとしたステージを表現する。大型スピーカーのように眼前に等身大の演奏者は表すことはできないが、奥行き表現の得意さも手伝って少しはなれた位置からオーケストラを見渡すことができる。これは眼前に等身大が現れるよりも現実に近い空間表現だろう。
ブルースをかけてみるとボーカルがぐっと前に出てきて迫力がある。ブルース独特の濃さが表現されているし、声の小さなニュアンスも漏らさず表現する。どこかの帯域を強調して表現するのではなく、しっかりと細かい音まで丁寧に表現した結果だろう。ここまで男性ボーカルのニュアンス表現が優れているスピーカーは珍しい。
総評
スッキリとしたデザインとは裏腹に元気の良い音も出せるし、同軸リボンを活かした繊細な表現も可能。ソースやセッティングにあわせてキャラクタが変わり、様々なジャンルの音楽を聴く人にはとても良いスピーカーだ。
高価なスピーカーだけあって、その音は50万クラスのスピーカーでは追いつけないだろう。音の細かさ、定位、空間表現、音像の濃さといった部分が見事だ。
反面、やはりセッティングには敏感だ。特にボーカルと空間の表現力は大きく差が出てしまう。といっても特別鳴らすのが難しいわけではなく、このクラスのスピーカーを使う人ならば十分対応可能だろう。
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