2012年7月10日火曜日

JELCO(BELLDREAM) SA-250

現在のアナログプレーヤーはトーンアームという観点から見ると大きく3つに大別できると思う。

①ユニバーサルアームをつけたモデル

素材や機構は昔ながらのものが多く、最新のアナログというよりかは古き良きアナログ再生といったところがメインになるだろう。

②専用ストレートアームがついたモデル

アームも機構も最新の考え方を取り入れたモデルが多い。しかし、専用のストレートアームのモデルでは、カートリッジを付け替えることが難しい。

③アームレスモデル

②と同様の考えで最新のアナログサウンドを目指すこともできるし、ユニバーサルアームをつけてカートリッジを付け替えて楽しむこともできる。

ここで問題なのは③でユニバーサルアームをつける場合。最新のアナログサウンドを求めていくならば自分が最も良いと思う技術革新を取り入れたアームをつければ良いが、ユニバーサルアームを使う場合は選択基準が難しい。特にユニバーサルアームが昔と比べクオリティがどうなのか気になるところ。

ということで今回試聴してみたのは、おそらく現在発売されているユニバーサルアームの中で最も安いであろう、JELCO(BELLDREAM)のSA-250。このアームのクオリティが十分であれば現在市販されているアームを安心して買うことが出来る。


※ターンテーブルはTechnics SP10、カートリッジはDENON DL-103で試聴

まず軽くアームを左右に動かしてみたが動きは滑らか。ワンポイント支持ではないので取り扱いも神経質にならなくてすむ。思っていた以上に軽く動き、ストレスも感じない。

針をレコード盤に落として、音を聴いてみる。これも思っていた以上にクオリティは高い。ストレートアームのような正確さや緻密さは感じないが、十分な解像度を持っていることがわかる。安いプレーヤーのストレートアームより解像度は高いだろう。

音の傾向はどちらかというとカチっとした輪郭のハッキリした音で演奏者の姿をハッキリと描く。下手にセッティングされたアナログプレーヤーの場合、いわゆる曖昧さのようなものが出ることがあるが、このアームはセッティングは楽なのでそうゆう心配もない。

しかし、演奏者の姿をハッキリと描くが、その中の細かい部分までは表現しきれていない。また、空間表現も下手なわけではないが、音がスピーカーからフワリと広がっていくような感覚は少ない。しかしそういったクオリティの高い表現力はもっと高いシステムでないと聴いたことがない。このアームでもターンテーブルや、カートリッジを変えることでそういった表現が出来るようになるかもしれない。

総評
アナログを楽しむために十分なクオリティを備えたアーム。設計自体に目新しい技術はないが、それでも古さを感じさせる音ではない。また、新品で手に入るのはとても有難い。過去の名機と呼ばれるアームでも、今では錆びや稼動部の動きに滑らかさがなくなっていたりと、その能力を100%発揮するのは難しい。下手に劣化した過去の名機を使うよりかは、きっといい音を奏でてくれるだろう。
ターンテーブルを買う際に、「アームに回す予算が・・・」なんて人はとりあえずこのアームを使っても問題はないだろう。十分ターンテーブルの良さを引き出すだけの力は持っていると思う。

2012年7月5日木曜日

Audio Technica AT33MONO

アナログレコードを楽しむ人はそれなりに多いが、モノラル盤をモノラルカートリッジで楽しむ人はそこまで多くない。しかしモノラル盤にはステレオとはまた違った魅力が凝縮されている。しかし、モノラルカートリッジは試聴できる機会も少なく、そもそも商品自体が少ない。しかもカートリッジ自重が重いものも多くとても使いづらい。そんな中で、Audio TechnicaのAT33MONOは比較的、低価格で発売されているので試しに購入してみた。
Audio TechnicaのAT33シリーズといえばロングセラーとなっているシリーズ。現在でも33EVと33PTG/Ⅱが発売されている。その33シリーズをモノラル化したので性能としては十分だ。また、33シリーズをモノラル化しているのでステレオカートリッジとモノラルカートリッジでそろえることもできる。うまくいけば針圧調整もいらず、とても楽にモノラルカートリッジを使うことができる。

音はまとまりの良い、スッキリとしたサウンド。いわゆるモノラル特有の厚みは少ないが、広がりや奥行きのあるサウンドで決してステレオに見劣りするような音ではない。モノラルというと50年代がメインとなると思うが、全く古さが感じられない。盤の状態さえ良ければ、録音年代を当てるのは難しいだろう。

ただし、やはりモノラル特有の厚みやエネルギー感といったものもソースによっては求めたくなる時もある。ただ、そういったものも求めつつこのワイドレンジ感も得ようと思うと、かなり高価格のカートリッジになってしまう。この価格でここまでのクオリティを実現しているのは、さすがカートリッジの老舗メーカーといったところだろう。