2011年3月9日水曜日

Anthony Gallo Reference 3.5


Anthony Galloはアメリカのスピーカーメーカー。Reference 3.5は2009年に生産完了となったReference 3の後継機。このスピーカーは

1.再生周波数帯域は広いがフルレンジのような音のつながり
2.トランジェント特性の高さ
3.広い指向性による広いサウンドステージ

が売りとなっている。CDT、S2テクノロジー等々、色々と技術的に工夫をしてそのような音を実現しているとのこと。このような技術的な工夫が実際に功をそうしているのか?

結果から先に言えば、かなりハイレベルで上記の3点を実現している。特に音場表現に関してはかなり高いレベルだと思う。それぞれの項目について注目してみる。

まず、フルレンジのような音のつながりという点では、ピアノの音が低音から高音にまで至って不自然な音色の変化がない。またボーカルの音源も上下にブレることはなく、一点にしっかりと定位している。ボーカルとの距離感は近すぎず、離れすぎずといった感じで1m以内の目の前で歌っているような口元のリアリティはないが、ボーカル全体の姿をとらえた表現はなかなか見事だ。

トランジェントに関しては確かに良い。QUAD ESLを彷彿させる鳴り方だが、ESLほどのトランジェントの良さは感じない。ESLのように低域から高域まで位相の揃った反応をしているように感じた。

サウンドステージはともかく広い!特にオーケストラでは低弦がステージに沿って広がっていくようだ。ただし、一般的なトールボーイスピーカーのようなステージ表現とはだいぶ異なるので最初に聴いた時は違和感を感じた。空間を描き出すのではなく、ふわっと空間を表現する。空間の広がりに限界を感じさせない。また音像に関しても表現した空間からフッと現れる。例えばボーカルなどは歌い始めるといきなり姿が現れるのではなく、最初からその場に居たかのように自然に音像が現れてくる。このあたりが一般的なスピーカーと違うと感じる点だ。


総括
嫌味な音は出さないハイレベルにまとまったスピーカー。特筆すべき点は広大なサウンドステージだろう。音場は横に広がり、見通しの良い空間を表現する。その分、音圧で押されるような圧倒力というものはない。
音色は味付けが少ないため、Sonus faberのような特定の楽器がとびぬけて良いといったことはないし、TANNOYのような独特の風格といった感じもない。色づけが少なく、どんな楽器に対しても素直に表現してくれるタイプ。故に異常なほどの楽器のリアリティという音は今回の試聴では聴くことができなかった。
また、B&Wのような超高解像度というわけでもないが、ソースの雑味は出さないので幅広い年代の音源が楽しめる。
ドライブするアンプによってかなり印象が変わるので、一聴して悪いと思ってもアンプを変えて是非とも聴きなおして欲しい。


蛇足だがこのスピーカー名前の呼び方に困る。前モデルのReference 3は「リファレンス スリー」と呼んでいたが、Reference 3.5では「リファレンス さんてんご」と呼んでいる。なんか締まらん呼び方だ・・・。

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